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教育基本法案に反対する緊急声明

内閣総理大臣  小泉純一郎殿
衆議院議長   河野洋平殿
参議院議長   扇千景殿
最高裁判所長官 町田顯殿
文部科学大臣  小坂憲次殿

 政府与党は去る4月28日、国会に教育基本法案を提出し、6月18日に会期末を迎える今国会中の成立を目指して、特別委員会での審議を進めています。私どもは、この現行教育基本法の「改正」に強く抗議するとともに、以下の理由で本法案に反対することをここに表明します。

1.戦前の国家主義体制復古の恐れがあること

 改正案前文は現行法の「個人の尊厳を重んじ」る精神に加えて「公共の精神」を尊ぶこと、「伝統を継承」することを掲げています。これらの意味するところは改正案第二条五の「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」態度と、第五条2の「国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うこと」にあり、国家のための人間作りという戦前の国家主義体制復古の恐れがあります。  私どもは、かつてのアジア諸国に対する侵略戦争とそれに荷担した教会の罪に対する真摯な悔い改めに立ち、二度と再び誤った道を進むことをしないという神の御前での告白に基づいて、国家主義体制復古の動きに強く反対します。

2.国家による愛国心教育強制の恐れがあること

 上記の改正案第二条五、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」の表現は与党内でも最も議論となった部分であり、自民党はより明確に「愛国心」の表現を盛り込むことを主張してきました。そこで目論まれていることは、天皇制を中心とした国家神道体制の復古です。すでに東京都をはじめとして、各自治体では公立学校教職員に対する「日の丸・君が代」の強制と、それに服しない者への処分という人権侵害が行われており、いずれは子どもたちへの強制が始まることも予測されます。また今回の法案審議に当たる特別委員会に自民党は文科大臣経験者や首相経験者などを送り込み、そこにはかつて「この国は天皇を中心とした神の国」と発言した森前首相や、最近テレビの報道番組で「教育基本法を変えて、小学生が伊勢神宮に行けるようにしなければならない」旨の発言をした町村元文科大臣など、暴言を口にする政治家たちが名を連ねています。 私どもは、天地万物の創造者なる唯一の神を信じ告白する信仰のゆえに、偶像礼拝を一切拒否するとともに、天皇の神格化と国家の絶対化、及びそれへの絶対的服従を求める愛国心教育強制の動きに強く反対します。

3.憲法第二十条の保証する信教の自由が侵害される恐れがあること

 改正案第十五条は、現行法の「宗教に関する寛容及び宗教の社会生活における地位」の尊重に加えて「宗教に関する一般的な教養」の尊重を掲げています。これは上記の愛国心教育強制とのつながりでとらえるならば、「一般的な教養」を口実とした神道儀式、神社参拝などの宗教儀礼の公教育への導入に繋がる恐れがあります。また今回の教育基本法改正の後に政府与党が推し進めようとしている憲法改正においても、自民党の改憲草案第二十条3には「国及び公共団体は、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超える宗教教育その他の宗教活動であって、宗教的意義を有し、特定の宗教に対する援助、助長若しくは促進又は圧迫若しくは干渉となるようなものを行ってはならない。」として社会的儀礼、習俗的行為の範囲内での宗教教育の可能性を含めています。私どもは、戦前の神社参拝などが宗教行為ではなく国民儀礼とされたのと同じ論理で、今後、国家神道的な宗教行為が「宗教に関する一般的な教養」の名目で、しかも社会的儀礼、習俗的行為の範囲内であるとの主張のもとに学校教育に導入され、子どもたちに偶像礼拝行為が強制され、憲法第二十条に保証されている信教の自由が著しく侵害されるこの動きに強く反対します。

私どもは、この国がかつての誤った道に再び進むもうとする事態に心から抗議するともに、キリスト者の良心に照らしてこの法案の成立に強く反対することを表明します。

また、万が一にも信仰と思想、良心の自由が踏みにじられるような法案が立法化され、それに基づいて何らかの強制がもたらされるならば、断固としてそれに拒否することをここに表明するものです。

「人に従うより、神に従うべきです。」(新約聖書 使徒の働き5章29節)
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by churchandtate | 2006-05-18 09:00 | 声明文