日本同盟基督教団「教会と国家」委員会から各種情報をお届けします。お問い合わせ、ご意見などはこちらまで:domei_churchandstate(at)yahoo.co.jp


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国民投票法成立に抗議する声明

国民投票法成立に抗議する声明

日本同盟基督教団
「教会と国家」委員会
委員長 朝岡 勝

 
 5月14日、参議院本会議において可決成立した「日本国憲法の改正手続に関する法律」(国民投票法)に対し、日本同盟基督教団「教会と国家」委員会は以下の理由で抗議の意志を表明します。

第一の理由は、本法が十分な審議を尽くしたものとは言い難いことです。
 本法は衆議院で約三ヶ月、参議院では一ヶ月という驚くほどの早さで審議され、審議内容の重要さに比べて審議の拙速さが再三指摘されてきました。この間、本法に賛成、反対の立場の如何によらず、十分な審議時間の確保と慎重な審議の必要が叫ばれて来たにもかかわらず、政治的思惑の中で採決が急がれたことは重大な問題です。本法が十分な審議を経ないままに可決されたことは参議院特別委員会で18もの付帯決議が付けられたことにも表れています。私たちはこのような不備を持つ法律が定められたことに深い懸念を抱くものです。

第二の理由は、本法には国民主権のもとにある憲法改正の手続きを定める法律として様々な不備が見られることです。
 私たちはすでに法案段階で本法の内容についていくつかの問題点を指摘して来ました(2006年3月「国民投票法案への反対声明」)。しかし今回成立した法律では、その際に指摘した、最低投票率が設定されていないこと、発議から投票までの期間が短いこと、公務員や教育者の地位利用に伴う罰則規定の範囲が不明確なこと、広報活動の制限など報道の自由が十分に確保されないことなどの問題点が解消されないばかりか、むしろ懸念はいっそう強まっています。

第三の、そして最大の理由は、本法が誤った方向での憲法改正に道を開く端緒となったことです。
 当初、本法は憲法96条の改憲手続きを定める中立的なものであると言われてきました。それで実際の改憲案が発議された時にその内容によって正しい選択をすればよいのであって、手続き法そのものに反対することはないという意見が、現行憲法を擁護する立場からも出されてきました。しかし、安倍内閣が発足して以来、露骨に憲法改正が叫ばれるようになり、7月の参議院選挙の争点とすると公言されるようになった今、本法はもはや中立的なものとは言えなくなっている現状があります。
 安倍内閣は「戦後レジーム体制からの脱却」という合い言葉のもとに国家主義的な動向を強め、愛国心教育の復活や、従軍慰安婦問題、歴史教科書問題などで示されるような偏向した歴史修正主義的な歴史観をあらわにしており、現行憲法も占領下に押しつけられたものであるとして、平和と自由を希求する現行憲法の理念を捨て去ろうとしています。すでに安倍首相は2005年10月に公表された「自民党新憲法草案」を基に今後の改憲論議を進めると明言していますが、同草案では現行憲法9条の平和主義は安全保障という名称に改変され、軍隊の保持と集団的自衛権の行使が可能となっています。また現行憲法20条の信教の自由と政教分離の規定にも大きな改変がなされています。さらに一部の自民党保守グループは本草案の天皇に関する規定を改め、天皇を元首として定めることを求めていくと発言しています。

 私たちはかつてのアジアに対する侵略戦争の罪責を悔い改め、平和をつくる使命を委ねられたキリスト者として、誤った方向への憲法改正に道を開く本法の成立に強く抗議するとともに、今後もこの国を愛するキリスト者として現行憲法を重んじ、平和と自由を祈り求めていくことをここに表明します。
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by churchandtate | 2007-05-17 09:45 | 声明文